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ここいまについて

●運営:TICCについて

 わたしたち一般社団法人TICC (Trauma Informed Care/Community)は,こころのケガへの意識を持ち,配慮やケアができる仲間作りを,コミュニティに広げていく取り組みを行っています.

 TIC (Trauma Informed Care:トラウマ インフォームド ケア) とは,こころのケガについての正しい知識を持ち,適切な対応をすることをいいます.

 わたしたちは社会全体がトラウマインフォームドに変化し,様々な傷つきを抱える当事者のトラウマを軽減し,包摂できる共生社会を目指しています.

​●プロジェクトに取り組む経緯

 当会は,ひょうごコミュニティ財団「有園博子基金」の助成を受けて取り組むすることとなりました.その背景には,子ども期に虐待や親・身近な大人による不適切なかかわりを経験した人の生きづらさや辛さに寄与できることはないか,という思いがありました.

​ とはいえ,過去のトラウマ的な体験を克服することは決して容易ではなく,かつ決して短くない時間を必要とすることも少なくありません.幼いころから虐待,不適切なかかわり,または機能不全の環境にあり,健全な環境で育った場合の自身の像などの回復のビジョンが見えづらい,という方も少なくないのではないでしょうか.

 そういった困難を解消することは簡単ではありませんが,情報を得ることができる場や,気軽に話ができる場など,立ち寄ってみようかなあ…と思っていただける場があることが,生きやすさに向かうこと,羽を休めること,挑戦をすることなど,生きやすさを支える小さな小さな一つの足場になるのではないかと考えました.

​ 「ここいま」は,ここに今いる自分から始めよう,ここに今いる自分を見つめよう,ここに今いる自分を大切にしようという理念をもち,名付けたプロジェクトです.​この会では,心に関する専門家を交えた「情報共有の場」と,お話のトピックを決めずに気軽に話せる「お話の場」の両方を開催し,どちらもサバイバーさんを中心とした場所づくりを目指してまいります.

大切にしていること

”つながり”をテーマに3つの視点を大事にしています。

​情報とつながる

Group Discussion

 サバイバーさんの中には,医療機関などにつながっていても,「自身の身に何が起きているのか」というメカニズムを知らされていなかったり,病気や治療についての情報を得られていない方もおられます.
 自分の身に起きていることについての情報を得ることは,自身を知り,自身とつながるひとつのアプローチだといえます.
 また専門家に質問をしたり,専門家が当事者に質問ができる相互作用的な場であることは,これまでの学術的・科学的な研鑽をサバイバーさん還元する場にもなります.
​ 医師や精神保健,心やケアに関する専門家を通して,情報とのつながりを大切にします.

自分とつながる

Holding Hands

 自分持つ情報と自身の感覚をすり合わせること,あるいは,自分と別の人との共通点や違いを認識することは,自身の輪郭を確認するためのひとつのプロセスです.
 とくに自尊心や自律的自己決定の機会を奪われ,ときに解離などの方法で切り離さざるを得なかった自己とのつながりは,サバイバーさんの回復へのひとつのアプローチとなるのではないかと考えています.
 そして取り組みの場が,ケアや心に関する専門家のいる場であることを,安心・安全なつながりを作るために大切にしています.

人とつながる

Group Therapy

 保護的・補償的体験(Protective and Compensatory Experiences: PACEs)の研究では,親以外の信頼できるおとなの存在,友人の支え,居場所としての学校,地域活動への参加が,逆境的な体験からの回復に影響していることが明らかになっています.
 このことは,虐待などで家族やきょうだい,親戚などとの繋がりがなかったとしても,周囲の人とのつながりを通して,生きづらさの緩和や回復の可能性を示唆するものです.
 当会は居場所や活動参加の場となり,エンパワメントへとつながるための取り組みを大切にしていきます.

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